「舊/旧/鵂」成り立ち


最終更新: 令和5年11月2日

 

【舊/旧】【鵂】

 元々は「鴟鵂」の「鵂」という言葉を表していたと考えられます。「みみずく」という意味です。「臼」+「雈」。「臼」は、発音を表す記号です。

 

 

解説


 商代「前4.15.4」([季 2014] から引用)

 周代晩期「[彖+皿]駒尊」([季 2014] から引用)

 185年「曹全碑」([伏見 1974] から引用)

 679年「泉男生墓誌」([伏見 1974] から引用)

 1935-1941年 <https://dl.ndl.go.jp/pid/1869497/1/223>

 

 上の字は「舊/旧」です。元々は「鴟鵂」の「鵂 (みみずく)」を表していたと考えられます。「臼」+「雈」。「臼」は、発音を表す記号です。[季 2014]

 @kanji_jigen さんは、孫雍長「甲骨文字考釋五例・釋[⿴囗隹]、[⿶凵隹]、[⿶凵雈]」を参考文献に上げて、おとりの鳥の形だとしています。

舊」は、いわゆる康熙字典体です。伝統的な楷書では「舊」などと書きます。

「旧」は、「舊」の上半分を省いた形です。

 

 1814年 <https://dl.ndl.go.jp/pid/2546338/1/3>

 奈良時代「畫圖讃文」([北川1981] から引用)

 9世紀「性靈集」([北川1981] から引用)

 1814年 <https://dl.ndl.go.jp/pid/2546338/1/20>

 1877年 <https://dl.ndl.go.jp/pid/794333/1/74>

 865年「神護寺鐘銘」([北川1981] から引用)


 9世紀「空海請來目録」([北川1981] から引用)

 1803年 <http://codh.rois.ac.jp/char-shape/app/icv-kuzushiji/?manifest=http://codh.rois.ac.jp/char-shape/book/200021660/manifest.json&pos=16&lang=ja>

 1775年 <http://codh.rois.ac.jp/char-shape/app/icv-kuzushiji/?manifest=http://codh.rois.ac.jp/char-shape/book/brsk00000/manifest.json&pos=13&lang=ja>

 1510年 <https://wwwap.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/w34/detail/34088339?dispid=disp02>

 室町時代末期 <https://dl.ndl.go.jp/pid/2540653/1/16>

 

 上の字は「舊/旧」です。

 

 1874年 <https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/841052/22>

 1935年 <https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1214108/2>

 1881年 <https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/764483/32>

 1881年 <https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/764483/29>

 

 上の字は活字の明朝体の「舊/旧」です。

 

 1892年 <https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/850422/3>

 

「鵂」は、上の字のように書かれてきました。

『玉篇』は「臼」と「鳥」からなる字を取り上げて、「鳥似鳩有冠」と説いています [中華民國教育部 2017]。「舊/旧」の古い形が「臼+鳥」になり、「臼+鳥」が「鵂」になったのだと私は考えています。

 

 

参考文献


 季旭昇撰 (2014)『説文新證』藝文印書館. (p.294)

 北川博邦編 (1981)『日本書道大字典 日本名跡大字典』角川書店.

 中華民國教育部 (2017)「C17579」,「教育部異體字字典」<https://dict.variants.moe.edu.tw/variants/rbt/word_attribute.rbt?quote_code=QzE3NTc5> 2021年9月21日閲覧.

 伏見冲敬 (1974)『書道大字典』角川書店.



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